猫派!




 もう早朝という午前4時、眠りについた街が再び活動開始する時間だ。車の中には何とも言えない倦怠感が漂っていた。連勤始めの密行の当番は正直言ってちょっと疲れる。明日は内勤で報告書作成やら書類整理やら、いわゆるデスクワークをしなきゃいけないと思うと、どうしても体が重くてしょうがない。だったらいっそ、スリルたっぷりな悪いヤツに現れてもらって、激走バトルを繰り広げたいものだ。なんて考えながら窓の外を見つめた。まあ俺には、志摩ちゃんっていう頼れる相棒がいるから、ぜってー負けないんだけど。

 ――二機捜本部から機捜404……

 入電だ!さてどんな凶悪犯だ!と耳を澄ませる。

 

「なぁんだ、ただの酔っ払いかよぉ」

「露骨にガッカリすんな」

「えーだって、酔っ払いと追いかけっこしてもつまんないじゃん」

「追いかけっこする前提かよ、早朝なのにホント元気お前」

「いやぁさすがの藍ちゃんも、今日はダル重なんだよね」

「へぇめずらし」

「だからパーッとひとっ走り? したかった? 的な?」

「はいはいドッグランドッグラン」

「ペットの遊びに付き合わされる飼い主みたいに言うなっ」

「運動不足解消になるといいなぁ」

「ドッグランやめろ!」

 二人であーだこーだ言い合って通報があった場所に向かうと、駅前で揉みくちゃになってる酔っ払いの男二人、そしてなんとか二人を引き剥がそうとする駅員さん一人。始発がもう少しで動こうかと言う時間に、一体何があったんだ。これから忙しくなっていくであろう駅員さん、朝から本当にお疲れ様すぎる。

 喧嘩するのは構わないけど、第三者に迷惑をかけてはいけない。これは俺の持論だ。気に食わねえ同士が気が済むまで殴り合って解決するなら、喧嘩も死ななきゃ別に良くない?とは思うけど、俺は刑事なので誰かが怪我をして傷つくのは止めなきゃいけないんだ。俺も大人になったよね。

「はいはい、お兄さんたち、一旦離れてください、警察です」

 志摩が割って入って行った。俺たちが駆けつけたことにホッとした表情をした駅員さんから、事情を聞いた。どうやら駆けつけた頃にはもう口論から掴み合いに発展していたところらしく、話を聞こうと向かったが泥酔していて埒が明かない……ということらしい。これは事件性があると言うよりは、二人から連絡先聞いて無事に帰ってもらうしかなさそうだな、と判断した。

「駅員さん、こんな時間から大変だったね、あとはこちらで引き受けるので、お仕事戻ってください」

「あ、ありがとうございます、何かあったら駅員室に……」

「あー!あと!危ないから今度は二人以上で止めに入ってね!」

「は、はい!」

 まだ新卒かそこらで若そうなのに、明らか自分よりもおじさん同士の取っ組み合いに停めに入ろうとしてドキドキだったろうに偉かったなあ。少し疲れた顔で戻っていく駅員さんの後ろ姿を見送った。さあ、あとは志摩と手分けして話聞きつつ連絡先聞いて家に帰す感じかな、と志摩の方へ向かった。

「ダメ、何言ってっかわかんねぇ」

「あーね、べろべろ?」

「べろべろ、飲み過ぎ」

「いーねー」

「そうだなぁ、はあ、あーもー! 掴まない、掴まないですよ!」

 警察です、と止めに入って一時は離れたものの、まだ謎の怒りは治らないらしく少し目を離した隙に掴みかかろうとしている。何?アンタたち磁石かなんか?

「うるっせえな!サツは黙ってろよ!」

 そう言って恰幅が良い男が大袈裟に志摩を薙ぎ払う。後ろに控えてた俺の胸に、志摩が背中から飛び込んできた。咄嗟に抱き止める。

「ぅおっと!」

 抱き止めた志摩のつむじに鼻が埋まった。志摩の髪の毛の匂いと微かな汗の匂いを思いきり吸い込んでしまった。胸に伝わる志摩の暖かさと、抱きしめた体の厚み。よろめいて漏れた小さな声が耳の真横で鼓膜を震わせた。瞬間的に五感で志摩を感じる。背筋がブワッと逆立つように熱くなる。

「ッ、伊吹、ごめん」

「いや、だい、じょうぶ」

 あ、やばいかも、と思った次の瞬間にはドクン、ドクンと体の奥が波打つ。頭の後ろがチリチリと燻っているのを感じながら、志摩を薙ぎ払った男の腕を掴むことに意識を集中させた。

「オイコラ、公務執行妨害でしょっぴいてもいいんだぞ、イイ大人が、いい加減にしとけよ」

 自分よりも長身な俺に上から凄まれると、チィッと舌打ちをして大人しくなった。おじさんたちが関係ない苛立ちが顔に出ていることは、ひっそりと心の中で謝った。それぞれの話を聞く限り、券売機でどっちが先にチャージするかで揉めたらしい、くだらねぇ〜。その後は何とか連絡先を聞いて、家族に迎えにきてもらってその場を治めた。その間も志摩の匂いと体温がずっと離れてくれなくて、熱が上がっていくのを感じた。いつもなら志摩の気配で満ちる車内は、なんだかんだホッとできる場所なんだけど、今は反対だった。ハンドルを握る腕が逞しくて、筋肉が浮き出す線を指先で辿りたくなって目を逸らす。志摩の声帯から伝わる振動が、俺の鼓膜も心地よく震わせてくる。眠たいフリをして窓の外へ視線を移して、志摩の気配を感じすぎないように必死だった。仕事もいよいよ終わりの時間、事後報告を簡単に済ませ、分駐所に戻って帰りの支度をする。退勤後もちょっとだけ雑談したり、コーヒーで一服したりしてから帰るのが常だったが、今日はもうダッシュで帰ることにした。帰りの挨拶もそこそこに、分駐所を後にした。体の奥でグツグツと何かが煮立っていく音が耳の中で響き始める。

 ああ、もう、またコレか。前こうなったのは三ヶ月前くらいだったかな、周期的にも間違いなくハツジョーキ、きちゃったな。前はエアコンが寒いって言った半袖の俺に、志摩が自分がさっきまで着ていたカーディガンを貸してくれた後だった。志摩がよく羽織ってるそれは、もう志摩本人くらい志摩の匂いがしてダメだった。善意で「今日一日着てていいぞ」という志摩に甘えてその日は着て帰った。家に帰って志摩の匂いがしなくなるまで抱きしめて、使った。もちろん直接汚すようなことはしてないし、ちょっとよだれ垂らしちゃったけど。うたた寝した時よだれ垂らしたって一応謝ったし、洗濯はしっかりしたし、「わざわざ洗濯まで悪いな、ロッカー入れといて」って言われたからセーフだ。多分もう志摩の匂いが好きすぎて、引き金になるように体が変わってきてるかもしれない。

 絶対知られてはいけない、相棒のことが好きすぎて発情してます、なんて。


 どたばたと急いで部屋に入って鍵を閉めた。小走りで家路を急いで、いつもならこれくらいじゃ息切れしたりしないのに、今は自分の浅い呼吸が響いてしょうがない。家の扉に背中を預けてずるずると座り込んだ。体の奥がグツグツ煮立ってしょうがなかった。Tシャツを押し上げる乳首を指先で引っ掻く。

「ふ、う、ちくび、きもちー……♡」

 両手でぎゅっと摘んだまま、親指と人差し指で擦り上げると尾骶骨から頭のてっぺんまで気持ちい電流が駆けていく。

「あは♡ いつもよりきもちい、きもちい……おっきくなってる……」

 走ったこともあって、いつの間にか胸元を伝う汗で白いTシャツが透けて、赤く膨らむ乳首が透けている。俺の乳首、どんどんエッチになってる……♡これが志摩に見つかったら、なんて言われちゃうかな……

『俺の匂い嗅いでこんなにしたのか?』

「あっうぅ……そう、しまの匂いでドキドキして、こうなっちゃった……」

 焦らすように乳輪を指で辿るようにゆっくり撫でる。芯を持った乳首がジンジンして、早く触って欲しくなる。妄想の中の志摩が意地悪く笑って、乳首を避けるように周りを優しく撫で続けた。

『伊吹』

「ふ、んん♡もう、さわって……おねがい♡」

『……伊吹』

「あ゙っ♡しまぁ……!」

 同時に両方の乳首をぎゅう♡と摘んで引っ張りながら、少し擦り潰すようにいじる。

「あぁっはぁッ、やあぃ、めっちゃ、きもち♡あ゙ぅ、イっく……ッ♡」

 ガクンと背筋が弓形になって、後頭部を扉にぶつけて擦り付けながらイッた。乳首しか触ってないのにイけるようになってるのは、間違いなくハツジョーキパワーだった。一回イったことで少し冷静になってきて、上がった息を落ち着けながら先走りやもろもろでぐっしょり濡れているパンツの中をそろりと覗いた。

「は、はふ……ちょっと、出ちゃった……」

 しかも、今自分が玄関にいることを思い出して、まだまだ硬いままの自分を気遣いながら四つん這いで風呂場へ向かった。体の奥で熱がどんどん溜まっていくような感覚がある。中途半端にイったことで、お腹の中がじんじんと痺れ始めていた。はやく、ナカ洗って、気持ち良くなんなきゃ……明日も仕事なのでこの熱を発散させられず出勤したら仕事にならなくなっちゃう。もちろん一日中志摩と一緒なワケだ。俺が志摩の匂いが好きすぎておかしくなってることがバレたら、拒絶されるどころか一発相棒解散になるに違いない。それは絶対に阻止。何があっても阻止。だから、頭の中で志摩にエッチなことを言わせるだけにしておかないといけない。頭の中がピンク色でいっぱいになりながら、今にもブチ切れてしまいそうな理性を頼りに準備を整えた。

 風呂上がり、どうせ汗とかいろいろな液体でぐしゃぐしゃになるので、肌触りの良い白いフランネルシャツだけを羽織ってマットレスに座る。本当はバック用の粘度の高いローションだけど、指先に少しだけ取って乳首に塗り込んだ。ぬるぬる、てかてかしてツンと主張する乳首がエロくて視覚で簡単に興奮が高まった。指で素早く弾くようにすると、それだけで痺れるように全身が気持ち良くて震える。

「ふ、ゔんん……はやいの、きもち……♡」

 左手で左の乳首を引っ張ったり、摘んだりいじりながら、つうと露を零す自身に指先に残ったローションを使ってぐちゅぐちゅ音を立てて扱いた。水っぽい音がまた、耳から頭の中で響いて何も考えられなくなっていく。

 あ、あっ♡ちんこ気持ちい……ぐちゅぐちゅ、音、えろ……♡

 カリのところ、くるくるするの好き……あぅ♡

『ここ、気持ちよさそうだなぁ』

「あっ志摩、そこ好き……♡」

『もうイけそうか?』

「うんっ♡もう、だめ……イく、いくッ」

 全身がぎゅうと強張ってガクガク震えて絶頂する。

「ハァッはあ、は、あ……っ♡」

 片手で受け止めきれない程の白濁が指の間から溢れて、あー、と思いながら枕横のティッシュで拭った。一回出しだだけでは落ち着かないそれを、少しだけ冴えた頭で元気だなあと他人事に見つめた。

 よし、後ろほぐすか。

 腰の下に丸めたバスタオルを入れて腰を高くする。この方法にたどり着いた一番最初は恥ずかしくて泣きそうになったけど、今はもうこの体制に入るだけで体が勝手に期待して、お腹が奥がきゅう♡と疼くようになってしまった。追加でローションを手に取って、片手で温めるように揉む。トモダチが挿入る時に引き攣らないように、入念に穴の周りに塗りつける。もうヒクヒクと期待が高まる後孔に中指をゆっくり埋め込んでいく。

 あ、あ……中指、きもちぃ、もうナカぐねぐね、しちゃってる……♡

 待ち望んでいたように指を咥え込んでいくそこに、薬指も添えて出し入れして広げるように指を動かした。久しぶりにハツジョーキになったのに、するすると入っていくそこに少し悲しくなる。普段はあんまり自慰したいとは思わないし、そういうことには淡白な方だと自分では思ってるのに、どうしてこうもエッチな状態になっていくのか……いや、普段からしないのが悪いのかな、何日かいっぺんは出したほうが体に良いって聞いたことがある。そういうムズムズムラムラは大抵日課のランニングでどっかいっちゃうから、しょうがなくない?

「あ゛ッふ、ゔ……♡」

 少し現実逃避しながら後孔を慣らしていると、より深く指を咥え込んだ隙に前立腺を指先が掠めて声が漏れた。

『もう気持ち良くなる準備万端だな、伊吹』

「ゔ、うん……早くナカ欲しい、しまぁ……♡」

 志摩の髪の匂いがフラッシュバックして、全身からじゅわ、と欲が滲むような感覚がする。もう、挿入れちゃおうかな、トモダチ……それを手に取っただけで、ナカがぎゅう♡と力が入って、生唾をごくりと飲み込んだ。


 ――プルルルル……プルルルル……


 驚いて肩が跳ねて、思わずトモダチが床に落ちて、べチン!と音を立てる。ローテーブルの上のスマホが震えている。電話だ、しかも志摩から。ど、どうしよう、この状態で志摩の声聞いたら、とんでもないことを口走っちゃいそうでヒジョ――――にまずい。でも、緊急事態だったら……強い意志を固めて、ちんこも硬いまま、5コール目で通話ボタンを押した。

 

『……それで、次の当番がズレる関係で明日は休み、有休消化だとさ』

 志摩からの電話はシフト変更の伝言だった。意識のどこか遠くで内容を拾いながらも、ホンモノの志摩の声が耳に響いて全身の血を暴れさせている気がする。

 志摩が猫を被っている時は、明るめで少し高い声で喋ったりもする。でも俺と話す時は、地声のもっと低い声で喋る。喉から喋る声は少しだけ、素気なく聞こえがちだから初対面の人とかには使わない声色だった。つまり素の時の志摩の地声を聞ける人物というのは、恐らくだけど限られている。そのうちの一人に俺もいると思うと、心がきゅるきゅるするから好きだ。あと単純に、その低めに響く声が心地よくて好きだ。その声で名前を呼ばれると、なんでもしてあげたい、もっと呼んで欲しくなる。ずっと聞いてたくて、返事をするのも忘れて聞き入ってしまった。

『伊吹?』

「ッはあ、あ、おう、わ、わかった……」

 もっと名前を呼んで欲しいと思ったそのちょうどで呼ぶものだから、声が裏返ってしまった。さらにドキドキして体の中心にまた熱が篭っていくのを感じる。早く、電話を終わらせないと。

『お前体調悪い?』

「えっ?! いやっ全然、っはあ、元気だけど?」

 やっぱり、いつもと様子が違うことを勘付かれてしまった。体の調子について聞かれるのがいちばんまずいのに、俺としたことが。俺のムスコが元気すぎてトモダチにお世話になるところなんで、電話もう切っていい?とは絶対に言えない。ある意味セクハラじゃん。

『……図星か?』 

 疑うような低い声が電話の向こうからする。直接耳に囁かれている気分になって、腰骨がさっきからぞわぞわしてしょうがない。これも志摩の声がエロすぎるのが悪い。

「うっいや、ふぅ、病気じゃないから、大丈夫ほんと……」

『息荒いぞ』

 えっ嘘、ヨクジョーしてるの、バレた……?

『熱あるだろ』

 ああ、焦った、熱の心配だった、良かった。いや良くない、良くない予感がビシビシする。なんて誤魔化そう?! 

「やっあっ、さ、さっきちょっと動いたから!息上がってるだけっ」

 嘘は言ってない。なるほど、運動しててメッセージも気付かなかったんだな、って思え!

『……とりあえずお前んち、行くから、じゃ』

「えっあっちょっと、しま!」

 この、慎重派もとい心配性魔人め!自分の目で確かめないと気が済まないモードに入ったな!とはいえ俺たちももう大人だし、来るなと言われたらさすがにわざわざ家まではこないだろうと踏んで、LIMEに平気だから来るなと釘を刺すメッセージを送る。すぐに既読もついたし、これで一旦は大丈夫だろうとスマホを放り投げた。マットレスに体を放り出してしばし放心するも、志摩の声を聞いただけでもう理性の糸が張り詰めすぎて今にも切れそうだった。腰を高くするポジションに体を戻して、右手でちんこを扱きながら左指を三本まとめて埋め込んだ。もう先走りとローションでぐちゃぐちゃで、すぐに絶頂まで駆け上がっていく。

「はぁっ♡あっん゛ん〜、ふぅ、ふ、あ、あぁっ♡ハッ」

『息荒いぞ』

「だって、しま……っ♡しまの声すきだからぁ、あっあぅ♡!」

 ぐちぐちとひどい音が部屋中に響いている気がする。もう前で感じているのか、後ろでイきそうになっているのかわからないまま果てた。

「ハァ、ハ……はふ……♡」

 勝手に後孔がきゅうきゅうとヒクついているのをそのままにして、じわりと広がり体に残る快感の余韻を味わう。短時間でたくさんイったから、頭がぼんやりして少し微睡む。焦らすように乳首をまたスリスリ♡指先で先っぽをゆっくり触ると気持ちいいのが、少しずつお腹に溜まっていく気がする。

「んっ……♡ふ、んん゙♡」

 どんどんナカが切なくなっていくけど、もう少し焦らしたほうがきもちいから……と、乳首をゆっくり触るのをやめられない。乳首を摘んでそのまま引っ張る。乳首また大きくなっちゃうからやめないと、と思うのにちょっと痛いのもクセになっている気がする。

「あ゛♡ゔうっ〜〜♡」

 もうお腹の奥が切なくてジンジン痺れて、呼吸が浅くなってきた。 

『気持ち良いのもう我慢できないか?』

「もう、我慢やだっ……しまぁ、もおいいよね?」

 さっきは直前で電話がなったから今度こそはと、トモダチを手に取って見つめた。耳の奥で響く自分の心臓のバクバク音とはあはあと荒い呼吸が響いてしょうがなかった。右手でしっかり掴んで後孔に添える。

「はぁ、はぅ、やっとナカくる……!」


 ――ピンポーン

 ガタタッ!ドンッガンッ


 びくりと跳ねた左足がローテーブルを蹴り、驚いた衝撃でトモダチをぽーんとまた放り投げてしまって床に落ちる。左足の脛がテーブルに当たって蹲るも、痛みなんかよりも先に冷や汗がでる。う、嘘だろ……ま、まさか志摩じゃないよな……?何か頼んだ記憶はないけど、宅配便かもしれない、悪いけど居留守させてもらおう。一応気配が去るまでトモダチは布団の下に隠して、念のため。宅配便の人だったらピンポン押して出てこなかったら帰るよな?普通そうだよな!不在票入れといてくださーい!


 ――ピンポーンピンポーン


 嘘じゃん。もっかい鳴らすじゃん。しかもなんか嫌味っぽい鳴らし方!諦めの悪い宅配人だな〜!早く帰れ!


 ――ピンポンピンポンピンポンピンポンピン

 

「っだ――――もお!ご近所迷惑ですよ!!!」

 急いでシャツを羽織り直して、タンスに掛けてあったテキトーなジーンズを履いた。そうだよなァ宅配便じゃないよなァ、このしつこさはよォ!こうなったらさっさと追い返すしかない。おしりがもうトロトロの状態なのに、大丈夫かな俺、電話越しでああなっちゃったのに、ホンモノの志摩を目の前に。瞬間的に思考が駆け巡る。不機嫌さを隠す余裕なんてなくて、足を踏み鳴らし覚悟を決め玄関に向かう。よし、落ち着け俺。できるだけ息はしないように、志摩の匂い吸わないように。

 ガチャリ!と扉を開けると、本当に志摩がいた。開口一番「元気だから帰れ!」と言おうと思ったのに、はぐ、と息を呑んで言葉が出なかった。顔色からじぃっと足元まで観察される。さっきまで一人でイきまくって敏感になってる体には、志摩のその確かめる視線でさえ十分に刺激になってしまって、一度どこかへ行ったような気がした熱がまたじわりと、全身に滲むような気がした。

「やっぱ熱あんじゃねえか」

 思わずぼおっとしていると、志摩の手が伸びてきて熱を確かめるようにおでこに触れてきた。案外志摩の手が冷たく感じられて、平熱であるはずの志摩とどうしようもない熱を持て余している俺との対比で、自分そのものがいかがわしいものに思えてくる。 

「っあ、うぅ……ふぅ、でも、まあ、病気じゃないから大丈夫……ッ」

「にしても……具合悪そうだな」

 俺の燻る熱が志摩に移っていくのが居た堪れなくて、ふるると頭を振って志摩の手から逃れた。その小さな肌同士の摩擦でさえ、今の俺には毒でしかない。良く見ると志摩の手には大きく膨らんだビニール袋がある。恐らく急病人だと思った俺の看病をするためだろう。わざわざ仕事終わりで疲れているだろうに、俺のために悪いな、と思ってしまう。いつまでもドアノブから手を離さない俺に痺れを切らして、ずい、と前に出てきた。いつもなら、まあとりあえず上がってって、と部屋に通すところだけど、今はそうはいかない。それに、急に、近づかないで欲しい。それでも退かない俺の腕をくぐって入ろうとするものだから、面倒見が良いと頑固が同居する人間はやっかいだと思う。

「ちょいちょい、ほら、無事なの見ただろ?帰ったら?」

「は?熱あるんだろ?お粥くらい作ってく、あ、うどんのが良いか?」

「いやいや、まじ大丈夫だから!」

 志摩ちゃんって案外天邪鬼だ。周りからあーだこーだ言われれば言われるほど、俺はこうだから、と意地でも動かないとこがある。俺が余りにも部屋に上げないものだから、意固地になっちゃってるな、コレ。だからって隙を見せればするりと入り込まれてしまう気がして、簡単に頷くことはできない。

「そ、んなに、俺に頼んのいやなのか……」

 志摩がちょっとショックを受けたように、ぽそりと喋る。いつも俺の頭に犬の耳が見える、とか言ってくるけど、今は志摩の頭にへにょりと垂れた犬の耳の幻覚が見える。しゅんとしちゃってるのが可哀想だけど、俺のハッキリした拒絶にショックを受ける志摩がかわいい。ぎゅってしたい……じゃない、落ち着け、今は志摩を帰さなければ。 

「待て待て待て、なんか勘違いしてるよ志摩ちゃん!ほんとにへーき……ッ」

 どうしたら志摩を納得させられるか、回らない頭で考えていると、志摩が首筋に触れてきた。優しく添わされる志摩の手から水面に広がる波のようにゾクリとした感触が全身に行き渡った。

「病気じゃないのはわかった、でも具合悪いんだろ?」

「いや、えっと、むしろ元気だからっ!でもちょい困ってるだけってゆーか……」

「元気って、無茶言うなよ……困ってんならちょっとは俺を頼ってくれたって、いいだろ……」

「いっつも頼りにしてるよ志摩ちゃんのこと、でもこれは……」

 どんどん自分が何を言ってるか分かんなくなる。志摩の心配する優しい声が頭の中で響くだけで、心臓が暴れ出す。志摩の首筋に鼻をくっつけて、胸いっぱい大好きな匂いを吸い込みたい。そんな思考に支配される。

 「何でも頼れよ」 

 あーあ、そういうこと言っちゃうんだ。そんなんだから俺みたいなのにつけ込まれるんだよ、志摩ちゃん。

「……なんでも?」

「何でも」

「……言ったな?」

「え、おう」

「俺は平気ってゆったよな?」

「ゆったな」

「帰るなら、今だぞ」

「は?だから言ったろ、病気じゃないにしろ普段と様子が違う相棒を放って置けるか」

「……じゃあ、どうぞ」

 そう呟いて、部屋の鍵を掛けた。


 とうとう家に入れてしまった。なんでも頼れという志摩に俺は何を言おうと考えた?でもここまできて、上手いこと言って志摩を納得させて帰らせる術が俺にあるのか?そんなことをぐるぐる考えながら、志摩が食材を冷蔵庫に仕舞っていく気配を感じた。なるべく志摩を視界に入れないように頬杖をついてそっぽを向いた。さっきまでひとりでイきまくってた部屋に志摩がいるってだけで、なんかもうダメだ。もう、いいかな、我慢しなくても。いや、相棒だし、やっぱダメでしょ。でももういろんな意味で爆発しそうなんだけど。さっきから心臓の音がうるさい。いや待てよ俺のとろとろの後ろで志摩も気持ち良くなれるんなら、ウィンウィンってやつではないか?そんな気がしてきた。

「伊吹、食欲は?」

「ない」

「じゃあ薬飲むのに、軽く何か……」

 優しいなあ、俺が本当にただの風邪だったら良かったのに。志摩の意識が俺以外に向いているのがなんか気に食わなくて、カラカラになった喉から何とか声を絞り出す。

「志摩、いいから、こっちきて」

 ローテーブルのキッチン側に背を向けた位置に、志摩がおずおずと腰を落ち着かせる、衣擦れの音がする。志摩の気配がより近付いただけで、口の中に唾液が溜まっていく。体の奥から熱が溢れてくる。志摩の意識がいざこちらに向くと、緊張で何を言っていいかわからなくなった。志摩の匂いを吸い込まないように落ち着きのない呼吸をするので精一杯だ。すると突然、何かが頭に触れて、髪を優しく撫でた。志摩の手……?驚いて肩が揺れたけど、その優しい手つきで撫でられるのが気持ちよくて、振り払うことなんてできなかった。ゆっくり撫で下されては戻っていく、その動作に、嬉しいのと気持ちいので、いちいち情けなく体が震える。

 志摩の手、あったかい、優しい、もっと、全部、触って欲しい。

 たまらなくなってゆっくり志摩の方を向いて、目で縋るように志摩のことを見つめる。どんな顔で俺の頭撫でてるんだろう、と思ったら、案外真顔で真剣な表情だった。何だよ急に!なんて、冗談に振り切ることもできなかった。俺がこっちを向いたものだから、志摩の手が頬の方まで降りてきた。頬を包むように添えられる手があったかくて、志摩の肌の匂いがする。思わずはふ、と吐息が漏れた。頭の中が志摩でいっぱいになっていく。

「もっと、撫でて……」

 願望がそのまま口から出てしまう。もう堰き止められずに、志摩をさらに感じたくて、引き寄せられるように少しずつ志摩に近づいた。いつものシャツから覗く首筋と鎖骨がやけに美味しそうに見えて、かぷりと噛みついてしまいたいのを堪える代わりに、おでこを志摩の肩に預ける。抱えられるように後ろ髪を混ぜられてゾクゾクする。普段使っているだろうボディーソープの香りの奥に、志摩の匂いを感じて背骨がカッと熱くなるようにじわりと汗が浮かんだ。好きな匂い……もっと、と思って本能で鼻で首筋をなぞる。志摩がひくりと震えて色っぽい吐息を零した。じわりと志摩の首筋が熱くなりさらに志摩の匂いが濃くなって、志摩も俺にドキドキしてくれてるの?と思うともう堪んなかった。

(もう、食べちゃっていいよな)

 気付いたらもう、唇にかぶりついてた。

 突然キスされた志摩は瞬発的に体を引こうとしたけど、首に両腕を回して逃げられないように背中を抱え込んだ。志摩の唇を味わうように甘噛みしながら吸い付くと、大した抵抗もせずに少し腰が揺れている。

 俺のちゅーで感じてるの、エロすぎない……?

 妄想の中の志摩より何倍もエロくてキスだけでもうちんこが痛いくらいだった。息継ぎのタイミングで開いた口からピンク色の舌が見えて、とっても甘そうだったので舐めとるように舌を差し込んだ。びくびく震える舌先がもっといじめて欲しいって伝えてきたので、遠慮なく齧り付いて引っ張り出す。舌の表面の小さなざらざらを舐めとるように表面を擦り付けた。目はぎゅっと強く閉じているけれど、耐えるように寄せられた眉間のしわが志摩の興奮を表している。志摩の口中を舐めて、舌を絡ませるのが気持ちよくて夢中になる。目を閉じてた志摩が目を開けると、頬を火照らせて、目がとろんとしている。

 志摩、ちゅー好きなのかな……俺のちゅー、そんなに気に入ってくれた?

 さすがに息が苦しくなってきて、まだくっつけていたかったけど勢いよく顔を離す。ハアハアと荒い呼吸で志摩とキスした興奮を落ち着けようとしながら、志摩にキスしてしまった罪悪感でごちゃごちゃになった。でもあんなとろけた顔見せて、ろくな抵抗もしないんだから、もう逃してやんねー、という意思表示で、手をぎゅっと握ったまま距離を取った。

「……おれ、三ヶ月に、一回くらい、なんつーか、その……ハツジョーキが、あるっぽくて……」

 このままだと突然志摩にキスしちゃった人になってしまうので、体調に問題がないことの証明も合わせて打ち明けた。志摩が引き金であることは伏せて。志摩には情けないところも随分見せてきたとは思ってたけど、さらに更新することになるなんて。志摩の柔らかい唇の感触が消えない口元で、できるだけ淡々と伝える。

「そしたら志摩から電話あって、悩んでとりあえず出た。だから動いてて息上がってたのは、ホント」

 お前が来る直前まで自慰に耽っていた、と告白されたらフツーは「すまんかった、じゃあ帰ります」となるだろう。口を噤んで志摩の反応を待つ。……いや何も言わねーのかよ!痺れを切らしてもうどうにでもなれ!と思って、布団の下に隠していたトモダチを取り出してテーブルに立てた。ドンッと音が響く。シリコン素材のソイツは裏側が吸盤になっていて、天板に張り付いて竿部分がビヨビヨンと揺れた。

「志摩が、ピンポン連打したとき、コイツつかおうとしてた。

 志摩の視線がトモダチに吸い込まれる。口は半開きで目はまんまる。あ、俺知ってる、スペースにゃんこ顔志摩ちゃんだ。宇宙から現実に引き戻すために、握っていた手を引いてテーブルに抑え付け再び顔を近づけた。志摩が俺を抱いてくれるんだよね?わかってる?

「意味、わかるよな?」

「え、あ、うん……」

 わかってて、逃げないんだ。志摩もドキドキと心拍数が上がっていて、脈は速いし体温が高くなってると思う。そのせいでより濃くなっていく志摩の匂いにお腹の奥が疼いて仕方なかった。

「なんでも、するんだもん、な?」

 体の芯がゾクゾク震えて、知らずと口角が上がる。じゃあいただきまーすと志摩の甘い唇に吸い付いた。喉仏がこくりと動いて俺を誘った。後ろに倒れるようにしながら志摩の腕を引いて、体勢を崩したところをマットレスの上に放り投げる。すかさず腹に跨って、腕と肩をまとめて抑え付けた。何されるんだと身構えながらも、頬を赤らめて期待を隠せずにいる志摩がかわいくてかわいそうだ。

「あーあ、かわいそーな志摩、ふふ……」

 じっと俺を見つめたまま動けないでいる志摩の涙袋にちゅっとして、首筋に顔を埋めた。志摩の太くてがっしりしていて、滑らかな線を描く首筋が好きだ。舌を這わせてその感触を味わった。

「さっき、ちゅー気持ちよさそうだったよね……ちゅう、好き?」

「う、ああ、うん……」

 あっさり認めちゃうんだ……珍しい志摩の素直な返事に胸がきゅるっとする。

「ハア、はン、ん、ふふ……そーなんだ、もっとしよーぜ……」

 ムッと閉じたままの唇を開けてほしくて、ぺろぺろと唇を舐める。すると諦めたように口が開いて、志摩が俺の舌を受け入れる。混ざり合った唾液が溢れそうになる度にじゅうっと吸うと、体重をかけたままの志摩の腰が震えている。もっと夢中になって欲しくて、自分の息がどんどん上がっていくのが分かった。舌を離すと、俺の舌から伝う透明な糸が志摩の唇と繋がっていて、やがて雫になって下唇にぽとりと落ちた。とっても甘そうな蜜に思えてつやつやで赤くなっている志摩の下唇ごと強く吸う。ごきゅりと音を立てて飲み込んで、志摩がはふはふ胸を上下させてぼおっとしている隙に次に進むことにした。ドキドキしながら志摩のシャツのボタンを外しにかかる。脱がされてる志摩、エッチだな……されるがままになっていたところからハッとして、志摩が首だけを起こした。

「伊吹っシャワー、シャワー浴びたい」

「はあ? ここ来る前浴びただろ」

「……え」

 え、じゃねーよ、シャワー浴びる隙に逃げようって作戦か?こんなに風呂上がりの匂いさせておいてそんな言い訳通じるわけない、証拠は志摩の体だ。

「しまの、シャンプーとボディソープの匂い、する」

 やっぱり逃げたいの?やっぱり嫌になった?ここでやっぱ無理と言われたら、俺はどうなるだろう。嫌われたくないから逃してやりたいのに、ここまで来て絶対に逃したくない気持ちが少し勝る。

 「今更、逃さねえぞ」 

 シャツに掛けていた手をはずして、檻のつもりで両手を突く。腕力は悔しいが志摩の方が強いので、こんな檻すぐに抜け出せてしまうだろう。でも、俺が今精一杯できる檻。

「……逃げる? 俺が? ハッ、誰に言ってんだよ」

 そうくる?負けず嫌いの頑固者すぎてウケる。俺を上に乗せたまま、腹筋を使ってぐっと上体を起こした。そのまま俺がコソコソ脱がせようとしていたシャツをインナーごと脱ぎ捨てた。

「男に二言はねえ」

「……ハハッサイコー、興奮する」

 もう待ては聞いてやらない。志摩の鎖骨に噛み付いて形を唇で辿りながら押し倒して、剥き出しになった志摩の胸筋の肌を吸う。やわくてあったかい、志摩の素肌に触れてるんだ、そう思うだけで頭が痺れていくような気がする。今朝の酔っぱらい対応のときより、シャンプーとボディソープの香りに志摩の匂いが隠れてしまってる、もったいない気がして鼻を志摩の胸に擦り付けた。

「ん〜、シャワー浴びて来なかったら良かったのにぃ」

 志摩の匂いを胸いっぱいに吸い込んで、多幸感に包まれる。もっと欲しい、と思わず脇らへんをべろんと舐めると、ビクッと志摩の体が強張る。

「志摩の匂い、好きぃ……」

 あ、またお腹の奥、ぐつぐつしてる……♡ホンモノの志摩、やっばい。

「……犬かよ」

 志摩がぶっきら棒に呟いた。

「どっちかつぅとネコですけど」

 

 志摩は俺を犬に例えたがるけど、こんなおしりとろとろの才能があるって知ったらそうも言ってらんないじゃない?志摩のベルトに手を掛けてパンツごとずるんと脱がせた。恥ずかしいのか、志摩が腕で顔を覆った。

 照れてるの?かわいーじゃん♡半勃ちの状態の志摩のちんこが現れた。おお、こんにちは、しまちん、仲良くしてね。キスしかしてないのに、ちゃんと反応を示しているのが嬉しくて、思わずにっこりしてしまう。 

「んふ、もうちょっと勃ってんじゃん、ちゅう大好き志摩ちゃん?」

「……うるせー」

 志摩が大好きなちゅうをしてあげようと、顔を近づける。腕が外れたタイミングで唇をちゅうちゅうと甘く吸って、早く口開けてと催促した。はあ、と熱い吐息を零して迎え入れられて、志摩の舌が遠慮がちに媚びるように伸ばされ、舌先同士が触れ合う。じゅうっと吸い付いて、奥まで舌を忍ばせて歯をなぞって、上顎を辿る。キスに夢中になって感じてる体に手を這わせ、ゆっくりと志摩のちんこを握った。その動きにひくりと体を震わせるけど気にせず、包むようにゆっくり扱いていく。すぐに片手では収まり切らないサイズに成長していって、志摩の興奮具合をしっかり伝えてくれた。唇と離すと志摩の口から吐息混じりの喘ぎ声が耳のすぐ近く聞こえて、頭の後ろが焦がされるみたいに煽られた。

「あーもうガチガチになった……すごぉ、あいちゃん嬉しー……」

 志摩が零す先走りを塗り広げて、ぬちぬち、いやらしい音がする。もうこれ完勃ちっぽい、でっかぁ……♡バキバキで血管も浮き出てきた。

「志摩って俺より背ェちっちゃいのに、ちんこはデカいんだな」

「そう、か?」

「うん、おれのトモダチより、でっかいもん……」

 ちらりとテーブルの上のトモダチを見る。コイツよりデカいのは挿入れたことない。やっぱトモダチより太さも長さも、志摩の方が上だった。

「あ、だから態度もでっかいのか」

 なるほど納得!

 もうこんなにバキバキなら、志摩も辛いし、いいよね……♡いつもトモダチに付けようと枕元に置いてるゴムを取り出す。結局興奮のまま使っちゃってゴムをいっつもつけ忘れてしまうので、一パック使い切ったことはなかった。まさか、ホンモノに付ける日がくるなんて……何故か感慨深い気持ちになった。

 無事装着出来て、いよいよだと思うと心臓がまた飛び出そうなくらいドキドキバクバクしてきた。興奮で震えそうな手でジーンズを脱ぎ捨てると、すぐに完全に勃ってる俺もこんにちはした。キスだけでもうイきそうだったんだから、よく堪えた方だし。

「えっノーパン……?!」

 志摩がノーパンに食いついてきた。え?何志摩そういうの好きなの?またスペにゃんこ顔になってる。パンツまで丁寧に履き直す時間なかったもん。

「だぁって、志摩がもう挿入れるって時にくるから!」

「おま、出てきたとき、ノーパン……?!」

「そーだよ、悪ぃかよ」

「いや、だって、お前もう少し危機感を」

「はい、もう黙れ」

 今までツッコむべきところはたくさんあったのに、ノーパンへの反応良すぎだろ。謎のお小言が始まりそうな気配を察知して、キスで強制的に黙らせた。ちゅう大好き志摩ちゃんなので、すぐに力が抜けてマットレスに体を預けている。後ろ手で志摩のちんこを支えて、自分の後孔に擦り付けるように腰を持ち上げる。

 やばい、熱くて、硬くて、すりすりするだけで気持ちい……っ♡

 お腹のもっと奥がきゅうきゅう♡うねうね♡しているのを感じながら、意を決してゆっくり志摩を迎え入れた。志摩の張ってるカリがナカを押し広げてくるのが気持ちい。入口がその形を覚えるように拡がって、志摩の太さをはっきりと感じる。

「……ひ、ぐっ……」

「あっあぁっ……はぁっ、しまの太い、ナカ、拡がって……んう〜ッ♡生ちんぽ、やば、きもちい……ッ」

 ゆっくり、ゆっくり慣らすように志摩のちんぽを奥へ奥へ。触れたことのない奥まで志摩のちんぽが入ってきて、汗が浮かんだ。やっと全部飲み込んで、志摩の腰と俺のお尻が密着する。全部ナカに納まった感動で下腹を撫でた。志摩の存在をより感じて、デカい分お腹が苦しいのに、無意識に形を覚えようときゅうきゅう♡締め付けてしまっている。

「よい、しょ……動くね」

 志摩の腹筋に手をついて腰を前後に揺らした。バキバキなちんぽがナカを強く押し上げてくるから、その緩い動きでもめちゃくちゃ気持ちい。ゆっくり味わうつもりが、勝手に腰が早まってしまう。志摩も堪えるように浅く呼吸を繰り返してるし、志摩も気持ち良くなってくれてるみたいだし、もうちょっと大胆に動いていいよね?上下運動に切り替えて、きもちいところにトントン♡リズムよく腰を打ち付けた。

「はぁ、うっんっ!やばぁ、あっあぅ!すぐイく……イッちゃう……!」

 挿入れてから数分なのに、イッちゃった……♡

 踏ん張っていた脚に力が入んなくて、志摩を深く咥えたままガクガクしては、ナカが切なくヒクついてる。トコロテンってやつで、志摩の胸まで白濁で汚れている。しっかり山なりに盛り上がる胸筋に白濁が伝ってて、エッチな光景すぎる……

「はぁ、は……ごめ、ん、しまに、かけちゃった……」

 でもふつう、男にせいえき掛けられて、嬉しい男なんて、いないよなと、一度イッて少しだけ思考力が戻ってきて我に帰る。とりあえず、俺のさっきのシャツでごしごし拭う。

「それ、俺のシャツ」

「え……うっそ、ごめん! 新しいの買って返す」

「そんなんどーでもいい」

「え、あっ?!」

 志摩に跨ったままあわあわしていると、下からナカにずん!と衝撃が突き抜ける。ビリビリ頭のてっぺんまで電流が流れるみたいに体が仰け反って逃げようとすると、志摩の逞しい腕が俺の太ももをガッチリ掴んでいる。そのままガツガツ奥まで突き上げられて、背後に手をついて体勢を保つことしかできない。

「俺まだッイッてないッんだけど!」

「あぅっ!ひゃば、ッ♡きもちい……またイく、いぅ……ああぁ!」

「ハッ、ぐぅっ、あー俺も、無理、ハァぐっ……!」

 志摩のちんぽが最後ぐうっと膨らむようにして、びくびく♡震えている。志摩が、俺のナカでイッちゃった……♡

 全部いちばん奥に出すみたいに太ももを固定されながら突き上げられ、その動きの男っぽさにイッたばかりのナカがまたきゅうきゅう切なくなってくる。全部出し切るまで掴まれていた手が離れて、支えを失った俺はずるりと後ろに座り込んだ。気持ちいいのがなかなか終わらなくて、ふうふう浅く息をしながら体が勝手にビクビクしてる。今まで自分でトモダチを動かすだけだったのに、他人のペースでガツガツ腰を使われるってこんなにわけわかんないくらい、気持ちいんだ、と放心してしまう。すると、突然後孔に志摩の指が触れた。

「んっ、え? ちょっ、と、志摩……っ」

「すごいな、すっげーピンク……くぱくぱしてる」

 志摩の指が遠慮なしにぐぬぬ、と差し込まれてゾワゾワ背筋が震えて全然抵抗できない。なんの抵抗もなく志摩の指の股まで差

 し込まれた。あ♡おれ、志摩に手マンされてる……っ♡的確に前立腺を探り当てられて、止めようと持ち上げた腕に力が入らない。

「はっあうっんんっ! アッそこ、そこ……だめなとこ……っ」

 いつの間にかすぐそばに志摩の顔が来ていて、耳元に志摩の熱い吐息がかかって、志摩の指をさらに締め付けてしまう。

「、ここか?……ッ、ダメなの?」

「きもちすぎて、だめぇ……っ」

 志摩の声もエッチすぎて、耳もおしりも全部、きもちよすぎる、訳わかんなくなって目の前の志摩に助けを求めるように縋り付く。しま、しますき♡しまの声も、匂いも、だいすき……っ♡

「はぅ、ん、んんっしま、イく……ぅ」

「はぁ……いいよ、イッて」

 志摩のその一声で簡単にイッてしまった。手前のいいところを責められて、さらにその奥がぐつぐつ熱を上げてうねり出す。志摩のちんぽで奥をガンガン突いてもらうことで頭がいっぱいになって、視線が釘付けになった。

「……あは、そんな物欲しそうに見なくても、くれてやるよ」

 そう言いながらニヒルに笑う志摩が色っぽすぎて見惚れた。ふにゃふにゃになっているとひっくり返されて、腰を高く持ち上げられる。わ、今度はバックで……♡志摩がガサゴソしている気配がしばらくして、先っぽがひたりと当てられた。だらしなく期待の篭った声が溢れるのも気にせず、志摩は腰をがっしり♡と掴んで腰を打ち付けてくる。すぐに最奥に突き当たって、お腹の奥から頭のてっぺんまで快感が駆け抜けた。俺の意思とは関係なく、ナカがうねって喜んでる……その様子から志摩に奥をトントン♡されるのが好きであることがバレてしまったのか、その一点を狙って突き上げられる。

「ハッあぁっ、も、いく、奥、すごっ……!」

 また♡イッちゃう♡志摩に突き上げられる度に、もう自分でも聞いたことのない喘ぎ声しか出ない。四つん這いになってシーツをぎゅっと握って耐えるけど、目の奥がチカチカして頭が真っ白になって弾けた。上体を支えていた腕に力が入らなくなって布団にぺしゃりと顔から倒れたけど、志摩に支えられている腰はそのままだし、俺一人でまたイッちゃって、なんか恥ずかしい……イッた余韻でナカがひくひく震えている。その度締め付けてしまう志摩自身はガッチガチだった。ぴたりと止まってくれてるけど、いっぱいイッて息苦しいから、いっかい抜いてほし……と言いかけた。

 力が抜けて投げ出してた腕を後ろからグッと持ち上げられて、上体を持ち上げられた。志摩に腰掛けるような体勢で、深く押し上げられる角度が変わってまた背筋から頭の先までびりびり♡きもちいのが駆け上がる。弾みを付けて突き上げられては、腕を引いて奥のきもちいところを叩きつけられてる。気持ち良すぎて、死んじゃう……!と本能で感じて逃げようとするけど、志摩が腕を離してくれない。

「しまッま゛っで、それやばっ深……!」

 気持ち良すぎて泣きそうになりながらなんとか声にするけど、完全に無視。言葉にならない唸り声をあげるしかできなくなった。

 やばいやばい、こんな気持ちいいの知らないっ♡

「あっすごいのきちゃうっきもちっ……っ?!」

 ピタリ。志摩の動きが止まる。後ろに腕を引かれ、志摩の全部が埋まったまま動けない。ぐつぐつ頭もお腹の中も沸騰したままで、絶頂し損ねた全身から汗が噴き出る。犬みたいに酸素を求めて呼吸するしかできない。

「ハアッハァッなん、で……? いきたいぃ、いかせてっ……!」

「はあ、ハッ……なあ、伊吹、お前のオトモダチと俺のちんぽ、どっちが善いんだっ?」

 腰を大きく引かれてバチンとナカを一突き、突き上げられて意識が一瞬トんだ。

「はあぅ! ハ、な……?」

「なあ、どっち?」

 もう一突き、目の前にちかちか、稲妻が走る。

「はっあ゙っ!ふ、フゥ……チッ」

 サイコーに気持ち良くなりそうなところで止められて、思わず舌打ちしちゃった。なんでイかせてくんないの……?イライラムラムラして志摩にムカついてきた。天邪鬼な志摩だから、ここで煽ればまた、ガンガン腰振ってくるかな……♡?

「おれの、オトモダチ……すぐイかせてくれるし……! 志摩より、付き合いっ長いし……!」

「ア……?」

 急に腕を離されたかと思うと、抱え込むように肩を掴まれた。背中に志摩がぴったりくっついて、熱い志摩の肌を感じる。それと同時にまた身動き取れなくて、奥のイイところを志摩が押し潰してくる。バクバクと心臓の音が耳の奥で響いてうるさい、このままは、やばい、離して欲しくて志摩の腕を剥がそうとするけど、体の芯がガクガク震えて力が入らない。そのまま志摩が腰を使ってぐねぐね、ナカを捏ねてくる。

「ひっぅぎゅ……! うっゔぅっしょれ、むり……っ♡」

「こんな美味そうにぎゅうぎゅう、吸い付いてきて……あはっ♡ それは無理あんだろ!伊吹?」

「あ!あ!ゔぅ〜〜〜っハハッ!しまのちんぽより、きもちいっ」

「ふーん、じゃあこのままでいいな?」

 よくないっ♡はやく、イきたいっ♡

「俺よりきもちいオトモダチいるもんな?」

 こんな奥、むりぃ……♡

「そいつにイかせて貰えるもんな?」

 やだぁ♡しまがいいっ……!

 ゆっくり奥を捏ねるように腰を回されて、いじわるなことを直接耳元に囁かれる。気持ちよくてどうにかなりそうだけど、奥トントン♡ってしてくんないと、イけなくて、頭おかしくなりそう……

「はっふえ……っそれダメっ♡おかしくある、おかしくなる……!ぁめだって……ッ♡」

 志摩、頑固モード入っちゃってる。いいとこをグッグッ♡押し上げるだけで、志摩が動いてくれない。志摩だって俺のとろとろなナカでビクビクしててさっきよりずっとおっきくなってるし、絶頂寸前なのはバレてるんだからな!俺が降参するまでこのまま我慢比べしようってこと?……死んじゃう!想像しただけで志摩のちんぽをぎゅうぎゅう締め付けてしまって、またきもちいので全部がいっぱいになって、もう自滅爆発寸前なのに!

「うそっうそついたっ」

「……」

「しまの、きもちいっしまのちんぽきもちいっ」

 志摩の腰がぴたりと止まる。

「……オトモダチより?」

 これだけじゃ不満のようで、トン……♡トン……♡と、緩い動きに変わる。

 「うんっうん……!は、んっあんっんっんっ♡きもちい……」

 それ、それすき♡すきなやつ、もっとして……♡縺れそうになる舌の代わりに、必死に頷いて志摩に訴える。

「ちゃんと言って?」

 ちゃんと言ったのに、なんで?お腹の奥が切なくうねって上手く声が出せない。奥まで埋まってた志摩のちんぽがずるると抜けていって、鞭を打たれるみたいにバチンッと強く打ち付けられる。その衝撃で喉が締まってかひゅっ♡とへんな音がした。腰を擦り付けられて、甘い刺激でまたナカが喜んで志摩にきゅうきゅう締め付けてしまう。

「……おれのトモダチよりっ、しまのちんぽの方が、きもちいっイっ、んん……♡」

「……いちばん?」

 トントン♡リズムよく奥のきもちいところをノックされる。いちばん好きなやつきた♡ひっきりなしに媚びた声が漏れてる♡

「あっ♡うん♡しまっしまがいちばんすきぃっ♡」

 耳のすぐ後ろで志摩がフッと笑った気配がした。その瞬間リズムが早まって快感で、頭も体も志摩に明け渡したくなった。目の前がチカチカし出したところで、志摩に顔を掴まれて、力の入らない口元に志摩の熱い舌が這わされた。しまとちゅう、もっとしたい……♡その一心で舌を伸ばした。言わなくても俺の気持ちが志摩に伝わったのか、俺の舌を掬ってじゅぅ♡と舌先を吸われる。俺たち、磁石だったのかも。それが嬉しくて、さらに涙が浮かんだ。

「よく言えました、いいこだな、いぶき……」

 志摩、おれ、いいこ……?いいこにはご褒美くれる?

 俺を褒める優しい声が全身のきもちいところを撫でていく。ご褒美欲しい……♡目で訴えると再び腰骨を強く掴まれて固定される。バランスを崩さないように逆手で志摩の腕を掴んで、志摩が腰を動かしやすいように構える。肩甲骨あたりにそっとキスをされて、合図された。

「あっしま、しまぁ……!」

「ん、いいぞ、いっぱいイッて」」

「きちゃぅっ、こんな、しらな……♡ッ!」

 やばい、こんなイキ方したことない、すごいのきちゃう♡志摩と、俺の間で鳴る、ぱちゅぱちゅ♡いやらしい音と志摩と俺のきもちい声しか聞こえなくなっていく。

「はあ、いぶき、きもちいな……」

「きもちいっしまぁ、〜〜あ゛ぁっ!」

「はぁっぐっ……!」

 勝手に体がガクガク震えて、イくのを止められない。もう体勢を保っていられなくて前に手をつくと、志摩のちんぽに媚びるようにカクカク腰が震えて言うことを聞かない。あ、おれ、ずっとイッてる……♡初めてメスイキしちゃってる……♡

 志摩が全部を奥で出し切るように、腰を押し付けて手を離さない。その動きにもさらに小さくイッてしまって、意識がトびそうになった。もうだめ、と思いながら力が抜けていくのを、志摩が抱き止めて支えてくれる。志摩が何か言ってるけど、全然わかんない。俺だけ寝かされてるのが急に心寂しくなって、志摩に向かって両腕を伸ばした。

「ぎゅって、してほしい……」

 ぽかんとしたあと、眉間シワを寄せて変な顔になった。ぎゅって、してくんないの……?泣きそうになってると、ちゃんと志摩がぎゅっとして、おでこに張り付いた前髪をゆっくり、ゆっくり左右に流して、頬を優しく撫でてくれる。その指先がすごく甘くて優しいものだから、小さな摩擦でさえさっきまでずっと志摩が居たお腹の奥がきゅん♡としてしまう。

「はうぅ……うっんっ……♡」

「かわいいな、伊吹……いっぱい気持ちよくなれて、えらいなぁ……」

 きもちよくなってるのバレてる、でも褒めてくれてるから、いっか♡志摩が蕩ける表情でよしよししてくれてる。しまぁ、すき、だいすき……♡

 もう難しいことが考えられない脳内は志摩のことでいっぱいだった。

「しま……」

「……なんだ?」

「しま……もっかい……♡」

 ごほうび、まだ、たんない!


◇


 ハッとして目が覚める。目を開けてぼおっとすると胸元には、すっぽんぽんで寝てる志摩。あ、夢じゃねぇんだ……と寝起きの頭で思ってなんか妙に恥ずかしくなった。志摩が家に来た頃は昼だったのに、外は夕暮れを通り越してもう夜になりかけていた。

 意識朦朧しながら志摩がいろいろなものを拭いてくれただろうティッシュやタオル、使用済みのゴムとか、周りに散乱している。酒に酔った勢いでも何でもなく、ことに及んでしまったから、全部の記憶が頭と体に残っている。その裏付けになるソレたちに顔が熱くなった。傍に投げ捨ててあった白いシャツをとりあえず羽織って、横に置いてるゴミ箱にとりあえずそれらを押し込む。

「しま、志摩起きて、もう六時だよ」

「……ぅえ?は、え?」

 ガバリと体を起こして寝ぼけ眼で周りをキョロキョロしている。少しぼんやりしたその後、ハッとして弾かれたみたいに俺を見る。

「伊吹、体調は?」

「ん、さすがにもう、だいじょーぶ……」

 あ、真っ先に俺の心配してくれるんだ。優しいなぁ……志摩に体調を伺われて、まだ志摩に掴まれている感触が残って、少し痛む腰のことが頭に浮かんだけど、言えなかった。

「あーそっか、なら、良い」

「うん、ありがとう」

 ふたりとも、ほぼ同時に目を逸らして、そわそわ落ち着きがない。まさか志摩とあんな、ラブラブエッチ♡みたいなことになるとは思わなくて、そりゃそうなんだけど、だって志摩にとっては、俺はただの相棒なんだから。自分で考えておきながらちょっと泣きそうになったけど、これはもう一生の思い出……一生のおかずになるだろうなって思った。

「お風呂入るでしょ?」

 このじめっとした空気が居た堪れなくて、出来るだけ明るい声で言う。

「ああ、うん、そうする」

 オーバーサイズのシャツだから、丸見えってことはないけど、俺もほぼ全裸なのが恥ずかしくていそいそジーンズを履いた。ジーンズの下には俺が間違って志摩のシャツで自分のせーしを拭いたそれがあった。汚してしまったことを鮮明に思い出して顔が熱くてしゃーない。タオルとかもまとめてかき集める。ぼんやりじーっと動きを見られてる視線を感じて、それすらもなんか恥ずかしい、やめろ見んな!とは言えない。

 とりあえず湯船にお湯を張る準備をさっとして、ふたり仲良く汚したそれの目立つ汚れを洗面台でザーッと流してあんま見ないように洗濯機に放り込んだ。

「準備できたよ、先どーぞ」

「え、いや、お前のが負担大きいだろ、先入れよ」

「いや志摩お客さんだから、いちばん風呂」

「別に、客ってほどじゃないだろ……」

「……」

「……」

「じゃあ、一緒はいる?」

「……そうするか」

「……うん」

 俺も志摩も、たぶんだけど、さっきまでゼロ距離でくっついていたのに、妙にテレテレしあって謎の距離が開いているのが寂しかったんだと思う。笑ってそれはねーよと言われるなら、それでもいいかと思ったけど、志摩は素直に受け入れた。天邪鬼だったんじゃねえの?と、素直な志摩に少しドキドキする。

 浴室に入って先にシャワーで汗を流して湯船に浸かった。志摩も汗を流すのを横目に見ると、お腹あたりに付いたカピカピを指で擦っていた。たぶんそれ、俺のだ。やばい恥ずい。

 きゅ、とシャワーが止まって、どうぞと腕を広げて見上げるとジトと見られてそろりと志摩が入ってきた。くっつきたいんじゃないもん、狭いからしょうがなくだから、と自分に言い聞かせた。志摩がしっかり腰を落ち着かせるとお湯がザーッと溢れて、二人でお風呂入る時は、もっとお湯少なくて良いんだと当たり前なことに気付く。

「俺思ったんだけどぉ」

「なんだよ」

「志摩さあ、勘違いしてると思うんだよね」

「勘違い? なにを」

「俺のオトモダチ」

 体育座りで丸まって、ちょんと俺に背中を預ける体勢の志摩の体がぎゅっと強張るのを見た。

「お前のオトモダチの話、今するのか……? 今度でもいい?」

 あれ、心配性魔人の志摩ならもっと食いつくかと思ったけど、これは嫌なんだ。でも、ここでちゃんと白黒ハッキリさせとかなきゃダメな気がしてる。

「いーや、今しなきゃダメって言ってる!」

「誰が、お前の勘?」

「そ、さすがしまちゃん」

 もっとこっちにでろーんってしていいんだよ、の気持ちも含めて志摩のほっぺにちゅってする。覗き込んだ志摩の顔は、ほんのりほっぺはピンク色なのに眉間にぎゅっとシワが寄って険しい顔だった。なんでよ。

「俺のいうオトモダチ、あいつな?」

「え?」

「だから、テーブルの上の、あいつ……」

 恥ずかしいから何度も言わすなよ、と思いながら言葉が尻すぼみになってしまう。

「えっ?あの?ディル「そう!そうだって言ってんじゃん!」

 ハッキリいうなデリカシーない!無理矢理体捻ってまで顔を見んなよ!志摩の顔にお湯をかけて抗議する。

「でも、生ちんぽとか言ってただろ……?」

 あんな理性ぶっちぶちに切れた状態で出るヒワイな言葉を、意識がハッキリしてる時に復唱されるとさすがに恥ずかしくて、ついでに志摩のちんぽが入ってきたときの感触まで蘇って頭の中が大変なことになる。

「うっ、それは!おれのトモダチしか使ったことなかったから……あったかいし、いいとこにぴったりで気持ちよかったからつい?初めての本物?だったから……?」

 あれ?俺いま、何言わされてんの?

「そうか……俺はずっと、あのディ「トモダチ!」に嫉妬してたんだな……」

 俺の主張をガン無視してそうかそうかと頷いている。あれ、嫉妬してくれてたんだ……ふぅーっと長めに息を吐き出した後、ぐでーんともたれてきた。少し濡れてるけど、ふわふわなままの志摩のつむじがかわいくて胸がきゅーんとして、鼻を埋めた。

「そーだよ、あんな気持ちいいの知っちゃったら、もう俺のトモダチじゃ気持ちよくなれねーよ」

 しまもふりに抵抗されないのを良いことに、浴槽の淵にかけていたうでをそろりと志摩に回した。俺が今精一杯できる檻、その二。

「志摩のシマチャンでしかイけなくなっちゃったら、どーすんだよ……」

「いいじゃん、別に」

「え?」

「これからずっと、俺だけにしとけば」

 横目でチラリと見られて、志摩は何ともない顔をしている。志摩、すげえこと言ってるぞ今。

「……いみわかってる?」

「わかってまーす」

 さらに体を倒して肩に志摩のふわふわが乗っかった。志摩のまんまるな黒目が俺を見上げてくる。

「俺を伊吹だけのカレシにして?」

「いーよ、志摩だけにする!」

 ぎゅうと力を込めて抱きしめた。首筋に擦り寄るとかわいい口元が目尻に触れてきて、髪をまぜられた。

 あーしあわせだ……

「もう逃さないかんな」

「ん、離さないで」

「ふふ、あいちゃんに任せなさいっ」

 初めてキスをするように恭しくそっとキスをひとつして、必要以上に暖まった俺たちはのぼせそうだねと言いながら湯船から出て、残りのお湯の少なさに二人で笑った。

 じゃれながら髪と体を洗って、風呂場で盛り上がってもう1回した。

 俺はやっぱり、犬派も猫派も、テキザイテキショ、だと思う。